「広谷湿原」の研究って?

 私たち、広谷湿原保全プロジェクトは1993年より、世界的に貴重なカルスト台地平尾台に存在する、日本で唯一の貴重な湿原、広谷湿原について研究を始めた。 その湿原について成因・減少・再生の3点から考察した。
☆ 成因
 地表に水のないカルスト台地に、なぜ湿原が存在するのか。そして、湿原がなぜ維持されているのか、『三日月湖』的観点から考察し、流量、遷急点の後退跡の測量から証明した。
☆ 減少

 これまで1994年から2010年、2016年と22年にわたる湿原の面積測量を実施し、その減少を数値化した。 2010年までに60%以上減少していた湿原が、理科部の定期的なメンテナンスによって22%も復活した。
☆ 再生
 「人間がずらした湿原の時間軸を元に戻すのは、人間の責務である」と考え、福岡県や地元の苅田町に「SATOYAMAイニシアティブ」を基に、再生の提言を行った。県のご指導のもと、ネザサの「かきおこし」等、広谷湿原の保全活動を始め、近年再生の兆しが見えてきた。
 また“広谷湿原を含む平尾台カルスト”をラムサール条約に登録する活動を始めた。登録がきっかけで、保全事業及び啓蒙活動はさらに進むのではないかと考えている。
☆ ラムサール条約登録に向けて

 湿原をラムサール条約に登録したら・・・? そんな授業中の一言から始まった活動は、行政などを通じて急速にネットワークを広げている。今後は土壌調査、生物種の同定などを行い更に平尾台、広谷湿原の重要性を伝えていく。